「なるほど」とは、納得した時に言う感嘆詞のひとつで、副詞としても使われます。
だから、この後に「ですね」という丁寧語のようなものを付けること自体が文法的におかしいのです。
「なるほどですね」という言葉は口癖のようになっていることがありますが、部下が上司に言う言葉ではありません。
何かに納得して上司や目上の人に言う時は、「左様でございますね」とか「左様でございますか」と表現することが正解です。
この言葉は慣れていないとすぐには言えません。
同様に、「おっしゃる通りです」という表現もあるのです。
いってらっしゃい
朝家を出る時は、「いってきま~す」と明るい声を上げて出かけます。
母親も、「いってらっしゃい!」とそれに応えて送り出すのです。
こんな日常風景はよくあることです。
「いってらっしゃい」は人を見送る時のあいさつなのです。
この「いってらっしゃい」は、「ただいま」とか「おかえり」などとおなじで感動詞に分類されます。
感動詞はそれだけで言葉として成立する自立語なのです。
そして、「いってらっしゃい」は立派な敬語なのです。
「行って、無事に戻ってきてください」という意味なのです。
では、目上の人に使っても良いかというと、一般的に定着しているので、使用しても問題はないのです。
ただ、親しそうに聞こえることから、ちょっと失礼かもと感じている人もいるのです。
そんな時には、「お気をつけて、いってらっしゃいませ」と「お気をつけて」と「ませ」を添えると、より丁寧な気持ちを表現できます。
すみません
エレベーターのドアを開けて、乗るのを待ってくれていたら「すみません」
部屋のドアを開けてもらった時に「すみません」
茶を入れてもらった時にも「すみません」
日頃からよく口にする「すみません」ですが、ちょっとした厚意を受けた時にも「すみません」と言ってしまうようです。
習慣のようになっています。
ひとつのコミュニケーションのツールになっています。
目上の人に同じようなことをしてもらった時にも、やはり「すみません」なのでしょうか?「すみません」では印象が悪いように思います。
やはりしっかりと目上の人からの厚意には、それなりの言葉で感謝の気持ちを伝えます。
「すみません」ではなく「恐れ入ります」を使います。
文章での「すみません」は、「恐縮です」と書きます。
上司から忘れ物を届けてもらった時には「恐れ入ります」、何か簡単なことをお願いする時には「恐縮ですが、宜しくお願い致します」のように使います。
やります
「やる」の丁寧語は「やります」で、謙譲語は「いたす」となります。
上司から何かをするように指示されたときには、「やります」では敬意が伝わりにくいので、謙譲語の「いたします」と使うのです。
「やらせていただきます」という表現もNGで、その場合には「させていただきます」か「いたします」が正解です。
目上の人から見ると、ちょっと態度がデカいなあと思う言葉は「なるほどなるほど」「大丈夫です」「やります」だそうです。
「なるほど」は目上の人が言う言葉で、しかも重ねているので生意気だと怒られます。
「大丈夫」もお前が勝手に判断するなと不快に思われますし、「やります」もプライドが高いと不快に思われるそうです。
「やります」よりも「いたします」を使うべきです。
とんでもありません
「とんでもありません」も「とんでもございません」も、日本語の表現としては間違っているのです。