親しい友人なら「了解!」とか「OK!」などと簡略して伝えます。
聞いた方も、その内容や感情についてもすぐに理解できるのです。
しかし、ビジネスのシーンで、上司から何かを指示されたときに「分かりました」とだけ伝えることは、軽い人間だと思われてしまいます。
もちろん、「分かりました」という言葉は丁寧語ではありますが、もう少し敬意を込めた表現があるのです。
自分はあいつの友人でもないし、そんなに親しくもない、と憤ってしまうことにもなります。
もう少し丁寧な表現をするべきです。
それは、「承知いたしました」とか「かしこまりました」という表現です。
了解です
親しい友達と連絡を取り合う時に、相手の言うことが分かったという意味で「了解!」と伝えることがよくあります。
「OK」と言うことと同じ意味で、気軽に伝えられます。
しかし、目上の人に「了解です」と返事することは、ちょっとためらいます。
さすがに、これでは失礼だろうと思うのです。
社会人になったら、もう少し敬語を使うべきだと感じます。
それもそのはずで、「了解です」とは同僚や部下に対して使う丁寧語なのです。
上司や目上の人には、「かしこまりました」とか「承知いたしました」という謙譲語を使うのが正解です。
「了解しました」とか「了解致しました」と「しました」を付けて丁寧に表現しても、目上の人には謙譲語を使うのが良いと思います。
謙譲語とは、自分をへりくだる時に使う言葉で、相手を立てる言葉です。
「かしこまりました」「承知いたしました」が正解です。
どうしますか
目上の人にとって、目下の者から催促されることは屈辱的なことなのです。
下手な相手から「上手くなるように努力していますか?」と尋ねられるようなもので、「何を、生意気な」と心で思っているはずです。
このように、何かの判断をする時に、目下の者から「どうしますか?」なんて尋ねられると、小馬鹿にされているように感じてプライドが許さなくなるのです。
後に、しこりを残すことにもなります。
ビジネスの世界では、「どうしますか」は敬語としては不十分なのです。
目上の人に「どうしますか」と尋ねる時には、①相手がどうしたいのかを尋ねる時は「いかがなされますか」、②相手が自分にどうしてほしいのかを尋ねる時には「いかがいたしましょうか」と言うのが正解です。
ご苦労様です
目上の人に「ご苦労様です」と言うのは、完全に失礼なことなのです。
「ご」と「様です」という丁寧な言葉を付けて表現していますが、もともとは目上の人が目下の者に命令したことを実行したことに対する労(ねぎら)いの言葉です。
「苦労をかけた」と褒めてるのです。
ということは、目下の者から上司に対して「ご苦労様」ということは、目下の要望通りに上司が動いたことになります。
上司を顎で使ったと同じことです。
上司としたら、「お前のために動いたのではないわ!」となります。
目下の者から上司や目上の人に言う時は、「お疲れ様でした」が正解です。
上司が部下に言う時には、「ご苦労様」なのです。
なるほどですね
時々みんなに「なるほどですね」と言う人がいます。
この言葉の意味は、「そうだったんですね」とか「そうですよね」というように理解したことを表現する言葉です。
やり方が分からなくて困っている人に、目の前でやって見せると「なるほどですね」と感動した時にいう台詞です。
上司に対して「そうだったんですね」などと言うことに抵抗がある時には、「なるほどですね」を使うこともあるようです。
ちょっと丁寧に言っているようですが、この言葉自体は言葉遣いとしては正しくないのです。